帰化のメリットとデメリット

　日本で長く生活をしていると、「帰化」や「永住権」という選択肢について聞いたり、考えたりすることもあるかと思います。「帰化」も「永住権」もただ長く日本に住んでいれば得られるものではありません。様々な条件をクリアする必要があります。では帰化をすると、どんな点が変わっていくのでしょうか。メリットとデメリットについてご紹介したいと思います。

帰化のメリット

　帰化申請をして無事許可となれば、日本国籍を取得ということになります。どんな利点があるかというと、
　・ビザ（在留資格）の更新、在留カードの携帯義務がなくなる
　　在留資格は期限があり（永住を除く）、必ず更新をしなくてはいけません。更新の手続きは簡単ではなく、煩わしいものです。更新も必ず毎回更新できるかといえば、状況が変わったりすればそうとも限らなくなります。「永住権」もあくまで在留資格のひとつですので取り消される場合もあります。帰化をすれば、日本人となりますので取り消されるということはありません。
　　また、在留カードは常時携帯の義務があります。帰化をして「日本人」となればこれらはもちろん必要なくなります。
　・日本のパスポート
　　日本のパスポートは世界の中でも最強、と言われるほどたくさんの国にビザなしで行くことができます。
　　また外国人の方が日本で暮らしていて、外国に行くとなると再入国許可が必要でありまた再入国には期限があります。再入国の許可がなかったり期限を過ぎてしまうと、最初からビザ（在留資格）を取りなおさなくてはなりません。日本国籍を取得すれば長期で外国に行って帰国してもまた同じように日本で暮らすことができます。
　・参政権がもらえる
　　選挙権があるのは、日本国籍を持つ人のみです。一部の地方自治体には外国人に選挙権を認めているところもありますが、帰化をするともちろん他の日本人と同様に参政権がもらえます。
　・国家公務員になれる
　　就労制限がなくなるのは「永住権」や身分系在留資格といわれる「日本人の配偶者等」や「定住者」と同じですが、国家公務員になるには日本国籍でなくてはならないので、帰化すると国家公務員になる資格も得られます。

　他にも、日本国籍となると戸籍ができます。配偶者やご家族が日本人である場合は同じ戸籍に入ることになります。また名前も日本語（漢字、カタカナ、ひらがな）になります。

帰化のデメリット

　では帰化するとどんな点がマイナスなのでしょうか。

　・帰化申請に費用と手間がかかる
　　　申請自体は無料ですが、法務局の事前相談、申請、申請後の面談などで法務局を訪問しなくてはいけません。その交通費や、仕事をお休みする場合は、その分の給料（または有給など）がマイナスとなります。また本国の書類を取り寄せたり、日本の役所で証明書を取得するのに手数料と時間もかかります。帰化申請を行政書士に依頼する場合は報酬の支払いもあります。
　　　書類の収集もそうですが、申請書の作成も残念ながらすぐできるものではありません。申請を受け付けてもらえるまでには相当の手間と時間はかかります
　・母国に帰省をするときは「外国人」となります
　　　本国の国籍は失うことになりますので、母国に帰省するとき等は「外国人」として入国することになります。メリットのところでも述べましたが、日本のパスポートはほとんどの国にビザなしで入国することができますので、短期で帰省をする場合は問題ないでしょう。
　・再び本国の国籍にもどるのが困難
　　　それぞれの国で制度は違いますが、もしまた本国の国籍に戻したいとなると本国で「帰化申請」が必要になります。

　日本で長く生活をしていると、日本国籍の利点というのは必ず目にはいってくることと思います。これからも日本で安定的に暮らしていきたいとお考えなら、日本国籍を取得すると便利なことがたくさんあります。先ほどご紹介した利点だけではなくて、日常生活の小さなことでもたくさんいいことはあるでしょう。
　帰化申請をお考えの場合には、一度デメリットについても見直してみてそれでも日本国籍を取得したい、というお気持ちがあれば時間も手間もかかる帰化申請への不安も少しは解消されるのではないでしょうか。